3月春の里山探検のご報告!あらためてご挨拶。

 すっかり季節も変わってしまいましたが、3月の春の里山探検にご参加いただいた皆さまありがとうございました。春の探検では、カワヅザクラの濃い桃色のお花に春を感じながら、落ち葉の中のカブトムシの幼虫を観察し、冬をこえてきたチョウを観察しながら、木漏れ日がさしこむ里山の森で早春のラン「シュンラン」を発見することができました。

 年度末最後の探検「一年のまとめのお話がしたいね。森のなかで生きる動物たちは、虫も、木も、動物たちもささえながら生きているよね。」

 あすなろの里園内の“カワヅザクラ”静岡県河津町で発見された栽培品種のサクラ。あすなろの里では、やや遅く咲くのでソメイヨシノの開花時期も同時に咲いていることがあります。

 嬉しそうに、カブトムシの幼虫をほりおこす案内人。「起こしちゃってごめんよ。」カブトムシさん、落ち葉を食べて、うんちをしてくれてありがとう。

 アレチギシギシを食べて大きくなった美しい瑠璃色のコウチュウ“コガタルリハムシ”この時期に成虫になるのだけど、あとの季節はどのように暮らしているのだろう?想像してみようね。

 こどもたちは、徘徊性の小昆虫やクモも簡単に見つけてくれますが、気づいたときには、いなくなってしまう。こどもたちの見つける能力に追いつかない案内人。

 春型のモンシロチョウのオス。メスとオスで紋が少しちがうのも面白いよね。チョウをつかまえたり、トンボをつかまえたりするのが、上手な子も増えました。

 冬をこえてきた、キリギリスのなかま“クビキリギス”「あごの力が強いので、虫や固い種まで食べることができるよ。」赤い口はなんだかこわいね。

 “タチツボスミレ”などのスミレのなかまには、エライオソームというまかない料理付きの種子があり、ごちそう目当てにやってきたアリに種子を運んでもらうことも大切なメカニズムですね。

 探検バッチのキャラクター、“シュンラン”も最後に発見したね。薄緑色が美しいお花ですが、花の上と左右に広がった花びら(花弁)のようなものは萼片(がくへん)といい、花びらたちを守るのが役割です。変わった形をしていますね。シュンランというお花は、さまざまな考察ができるお花ですので、ご興味を持たれた方は、ぜひ書籍等で生態をお調べください。

 今回は、いつもお手伝いいただいている常総みどりの会の皆さまはお休み。コロナ禍ということもあり少人数体制での実施となりました。里山探検を1人でご案内するのは、とても久しぶりで、懐かしい感覚でした。4年前は、田んぼの長期体験のサイドストーリーで行っていた自然観察会がお陰様で皆様に認知していただき、各回たくさんのご応募のもと実施できていること、誠にありがたい限りです。加えて、受付から観察会の補助まで幅広く援助してくださるみどりの会の皆さまの応援のありがたさが、身に沁みました。

 新緑の季節が近づき、菅生沼の野鳥たちもずいぶん様変わりしました。今年は、ヨシ原で“オオヨシキリ”の「ギョギョーシーケケ」というあの、特徴的な鳴き声があまり聞こえないので心配をしていますが、先日、近隣の田んぼでは、夏鳥のタカのなかま“サシバ”がエサ取りに出かけている姿を目にしました。田植えの時には、“ツミ”が大きなネズミのような動物を運んでいる姿も目撃しました。年々環境が変わっていくあすなろの里ですが、動物達が賢明に生きる姿ほど、エネルギーをもらえることはありません。自然教室事業としては、引き続き、四季ごとに現れるいきものの「命のすみか」をさがし観察を行う「里山探検」、田んぼをプラットフォームにたくさんの命の多様性を学ぶ「田んぼの長期体験」に加え、参加者の方々自身の力でいきものを調べ、図鑑制作を目指す、新企画「みんなで作る里山プロジェクト」もスタートしました。どうぞ、皆さまの希望に合わせてご都合の良い体験にご参加いただけたら幸いです。遅ればせながら、令和4年度もよろしくお願いします。

自然教室事務局 坂入 真史

協力:自然科学教育普及団体 地球レーベルさま(探検バッチ) photo:あすなろの里・杉岡 岬さま